大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和32(あ)902 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人フランクリン・イー・エヌ・ウオーレンの上告趣意第一点について。

所論は憲法三七条及び刑訴一五七条違反を主張する。しかし、第一審裁判所(論

旨に原審裁判所とあるのは第一審裁判所の誤記と認める。)は証人A外二名を裁判

所外において尋問するについては、その日時、場所並びに尋問事項をあらかじめ適

式に被告人にも弁護人にも通知し現に弁護人立会のもとに指定の日時場所で右各証

人尋問がなされたこと記録に徴し明白である。被告人も右通知を受けている以上、

右各証人尋問に立ち会う機会を与えられていたわけであつて、身柄不拘束の被告人

が所論の如く出頭したのに立会を拒否されたと認むべき資料はどこにも存しない。

右の如く立会の機会が与えられたのに被告人が立ち合わないで証人尋問がなされた

からといつてその尋問手続を違法とする理由はなく、又その証人尋問調書が証拠能

力を有しないいわれもない(刑訴三二一条二項参照)。これと同旨に出でた原判決

は相当であつて、原判決には所論のような証人尋問手続の違法もなく又その手続の

違法を前提とする所論違憲の主張はその前提を欠くものであつて、刑訴四〇五条の

上告理由に当らない。

同第二点について。

所論は判例違反を主張する。しかし所論引用の判例は本件に適切ではなく、所論

の実質は被告人がドル貨支払の許可を得たと信じ、又信ずるにつき相当の理由があ

つたのであるから被告人の本件所為は犯意を欠き無罪であるとする事実誤認の主張

に帰する(事実誤認は認められないとした原審のこの点に関する判断は相当である)

ものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

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よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和三三年二月一二日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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